「大和屋で宮古島工房うむくとぅ展」開催までの物語 vol.1

皆さま、こんにちは。「宮古島工房うむくとぅ」主宰の東郷澄恵と申します。

令和4年3月26日から3日間、東京神田神保町の老舗「大和屋履物店」さんにて、初の展示会を行う運びとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。
「大和屋で宮古島工房うむくとぅ展」が開催されるまでのものがたり。“うむくとぅ”っていったい何?そんな皆さまの疑問にもお答えしたく、少々長くなりますがお付き合いいただけますと幸いです。
遡ること令和元年4月。私が宮古島に渡り、新たなスタートを切ったことが、このものがたりの始まりとなります。

第一章 移住の決断と行き先

それまでの約25年間、私は企業勤めをしていました。物作りのお仕事から社会人生活が始まり、退職するまでの間に様々な役割を担わせていただきました。とてもお世話になった会社で仲間も仕事内容も大好きでした。

しかしご想像の通り企業勤めはいつか定年がやってきます。人生100年と云われる時代、折り返しの50歳目前。まだ余力があるうちに、自身の経験を活かせる定年の無い役割を探したいと想い立ち、大きな決心をしました。企業から離れ、まずは元々の専門分野に立ち返ってみることにしたのです。

一旦立ち止まり、自分の原点に戻って考えてみる・・・

企業経験と専門分野を併せて何かできないものか・・・

元々の専門分野、私の場合は美術・デザインです。美術×企業経験、と考えたときに「日本の伝統工芸を継承していくことに、何かしらお役に立てないものか」と想い、伝統工芸が生まれる現場への移住をイメージしました。

織や布、その文様にはかねてより興味が深かったので、その研究も兼ねて様々な産地を想定していました。ご存じの方も多いと思いますが沖縄県は織の宝庫です。「機械織が入っていない小さな離島の伝統工芸は学ぶことが溢れているに違いない」と想いました。そしてその中でも最も緻密な織を行っている現場を訪れてみようとなり、宮古島移住のご縁となりました。

振り返ると本当に大きな決断でした。自分でも驚くほどのスピードでしたが、大きな力で押されるように物事が進んでいきました。当時の決断を受け入れてくれ、今も応援し続けてくれている娘に、とてもとても感謝しています。

第二章 織の学びと“うむくとぅ“

実は大の南の島好きなので、想い立った後の行動は早かったです。宮古島の海は入ったことがなかったので、それもワクワク!ほぼ一年中大好きなビーサン生活。亜熱帯の美しい珊瑚礁。熱帯魚や海ガメに気軽に会えるシュノーケルは11月頃まではウェット無しのラッシュガードで大丈夫。島には美しいリゾートも在るし、せっかくだからゴルフも初めてみようかな・・・週末の過ごし方はばっちりイメージができました。

とにかく身を投じて学ぼう。宮古島市で募集していた宮古上布後継者育成事業の研修生としてまずは織を「ゼロ」から学ぶことになりました。

切れやすい手績み(てうみ)の苧麻糸ゆえ、あえて高い湿度を保つ環境で丁寧な手作業を学ぶ日々。エアコン無しの亜熱帯をご想像ください(笑)。日々ものすごい汗・汗・汗。そして慣れない作業で失敗も多く、落ち込む日も多々在りました。とにかく糸が切れて切れて・・・「織る」というより「繋ぐ」毎日・・・1日に20㎝しか進みません。糸を強くして整えるために糊を引く作業がありますが、その濃度を湿度に合わせて変えたり試行錯誤してもなかなか上手くいきません。先生からは「糸をいじりすぎ、もっと”うむくとぅ”を出せ〜!」と1日に何度も叱咤いただいていました。

”うむくとぅ”は島の言葉で知恵やアイディア。

言わずもがな先生のご指導をそのまま工房名にいただきました(笑)。

織の技術はもとより、その労力、手績みの苧麻糸の貴重さ、緻密な作業、織以外にも様々な作業が連携して反物ができる様子、それらを守っていくために、何が必要なのか・・・体験し、学び考えながら、日々が過ぎ去っていきました。

そんな慌ただしい中にも、毎日休憩時間がありました。皆さんでお茶を飲みながら、美味しいものを少し摘んでおしゃべりに花が咲きます。先生や先輩・仲間と大笑いしながらの楽しいお話、そして産地の悩みやその真剣な議論まで、多岐に渡る貴重な時間です。伝統を継承するための様々な課題を肌で感じながら、経験を活かすべきことが少しずつ見えてきました。最初の想いは、織っている人をもっと元気にしたい!でした。関わる人がもっと元気になれば、継承も自然に続いていくはずだと。企業勤め時代、働く人のモチベーションを上げる仕事も担っておりましたので経験が背中を押してくれました。では、どうすれば元気になるのか・・・うむくとぅを必死に出す毎日が続きました。

つづく。

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